かさ歯車における歯面破壊：歯車の歯面破断－かさ歯車の歯面破断損傷形態に係る調査

摘要

かさ歯車のさまざまな投入分野において，最大曲げ応力領域である歯元部位に基因するものではなく，アクティブ歯面部位に基因する破壊が繰り返し観察されている。これらの破壊は，歯画破壊あるいは歯先破壊と呼ばれている。この分野の最新の研究成果が本稿では詳細に解説されている。歯面破壊あるいは歯先破壊では多くの場合，一連の平行に走るき裂が確認される。破壊は歯を通過して裏側歯面の歯元曲部へと推移している。主要破壊片のほかに，多くの横割れが歯の表面で発生する。歯面破壊は，頻繁に表面損傷（フレッティング，ピッチング，マイクロ·ピッチング）とは無関係に生じるが，これらの損傷を伴って歯車の異なる歯で同時に発生することもある（写真1）。中には1つの歯だけで歯面破壊が生じることもあるが，複数の歯で生じることが頻繁である。破壊までの運転時間は大きくばらついており，非常に高い破断繰返し数(＞10~8)では時間強度の領域でも生じ，疲労破壊領域でも発生する。歯面破壊にはモジュールが大きく，冠歯車の直径が大きいケースで生じる傾向にあることが観察される。