3/2方式の音像定位精度における反射波の影響

摘要

3/2方式によるトランスオーラル技術の先行研究で音像定位精度が検討されているが，その中で音像定位の正答率に10％と90％という違いが見受けられた．この一つの原因として，試験環境が遮音室と無響室であったため，反射波の影響が考えられる．本報告では，仮想音源に含まれる反射波成分の影響における音像定位精度の検討を目的とし，含まれる反射波成分が直接波のみ，第1反射波まで，第2反射波まで，第3反射波までの4種類の仮想音源を作成し，音像の定位とシャープネスについて受聴試験を行った．その結果，全方位で，前後誤判定率，平均定位誤差について仮想音源に含まれる反射波成分との関係は一意的ではなかった．一方，シャープネスは，全方位において直接波のみの仮想音源が有意水準5％で最も高かった．