2000年鳥取県西部地震の余震域とその周辺における断層と断層岩--'未知の活断層'の検出に向けて

摘要

2000年鳥取県西部地震（M7.3）は，地震発生日時点では活断層やその可能性が高いリニアメントが矢どられていなかった米子南方で起こった（第1図）．この地震の余震域とその周辺地域には，地震後仁空中写莫判読によって，推定活断層や活断層の可能性のあるリニアメントが認定されている（小松原·伏島2000；堤ほか，2000；井上ほか，2002；高圧ほか，2003など）．また，地表踏査によって，それらの幾つかに沿った断層露頭の存在も報告されている（井上ほか，2002）．さらに，この地震に伴う余震分布（福山ほか，2001；Fukuyama et al.，2003など），それに基づく断層モデル（堀川ほか，2001；鷺谷ほか，2002など），地震断層の分布·性状?地殻変動も示されている（伏島ほか，2001，2002，2003）．活断層は第四紀に繰り返し活動した地震断層にほかならないことから，その分布は2000年の地震の余震分布や地震断層の配置とある程度一致することが期待される。しかし実際には，余震域のかなり広い部分で，推定活断層や活断層の可能性のあるリニアメントは認定されておらず，西伯町の緑水湖周辺では地震断層の出現地点ですら，明瞭なリニアメントは認定されていか．一方，余震分布から離れた位置に認定された推定活断層·リニアメントや，余震分布の延びと大きく斜交する推定活断層·リニアメントが示されている．これらのことは，空中写真判読による活断層やその可能性のあるリニアメントの検出·認定が必ずしも十分なものではないことを示している．