油彩画の3次元保存?鑑賞システムの構築と評価

摘要

油彩画は人類にとって重要な文化財であり，後世に残すべくディジタルアーカイブ技術が研究されている．しかし，従来の研究では高解像度，高画質を目標としており，油彩画の持つ立体形状の保存には注目していない．油彩画の立体形状は画家が意図的に描いた表現であり，正確に保存し，鑑寅できなければ油彩画本来の印象を鑑寅者に伝達できず，文化財としての価値を損なう．そこで本研究では油彩画の立体形状を3次元情報として正確に保存し，自由視点により鑑賞行為を可能とする油彩画の3次元保存?鑑賞システムを提案する．本稿では提案システムの一部である鑑賞システムの有効性を主観評価により検証し，従来の2次元画像よりも3DCGによる油彩画鑑賞が，油彩画本来の印象を鑑賞者に伝える上で有効である事を示す．また，3DCG油彩画の持つ印象を実物の印象に近づける手法を検討し，立体形状の強調操作を行うことで，3DCG表示した油彩画の立体感が実物に近づく事を確認した．