塩化物イオンを含む硫酸銅溶液中での銅の電析反応に対するチャンネルフロー電極法による解析

摘要

塩化物イオンを含む硫酸銅溶液中で銅の電析反応をチャンネルフロー電極法（CFDE）により検討し，次の結果を得た．（1）低カソード過電圧ではCuは電析せずにCu（I)の生成が起こり，Cu（I)は塩化物イオンの濃度が大きいはど安定に存在する，（2）Cu（I)は塩化物イオンが存在しているとCuClとなり電極表面に吸着する．また，低過電圧ではCuCl~（2-）となって溶解し検出極で検出される．さらに，電位が卑になるとCuの電析反応となる．（3）塩化物イオンを含む硫酸銅溶液からの銅の電析反応モデルを検討した．以上の結果からCFDEが金属の電析反応の解析に有効であることがわかった.CFDEによる金属電析反応解析における長所を以下にまとめる．（1）反応物質の溶液内拡散速度を制御することができる．（2）混合律速となる還元反応において，拡散と電荷移動の寄与を分離することができる．（3）反応生成物と反応中間体を検出することができ，その速度論的解析が行える．（4）電気化学インピーダンス法と組み合わせることで，反応中間体に関する情報を得る宗とができる．