燃焼の数値シミュレーション：航空宇宙技術研究所における燃焼の数値解析に関する研究

摘要

航空宇宙技術研究所（以下，航技研）には，世界的に見てもトップレベルの計算速度と記憶容量を持つベクトル並列計算機NWT (Numerical Wind Tunnel)を中核とする数値シミュレータIIが設置されている。 本年7月にはこれに変わるべく，数値シミュレータIIIが稼動を開始した。 NWTを用いて，宇宙往還機，超音速輸送機，ヘリコプタ，エンジレン等といった航空宇宙分野の多数の数値解析が盛んに行われている。 燃焼を伴う流れの数値解析についても，これまで，スクラムジェットエンジン，ラムジェット燃焼器などが計算されて来た。 スクラムジェットの数値解析は，現在も角田宇宙推進研究所でサブスケールエンジンの試験と平行して行われている。 ここでは，現在，航技研で行われている燃焼の数値解析に関する4つの研究について紹介する。 まずは始めに，燃焼の基礎的な研究である水素噴流浮き上がり火炎のDNS (Direct Numerical Simulation)，次に予混合燃焼器において問題となっている火炎の不安定性解明のためのLarge Eddy Simulation (LES)，噴霧燃焼流の数値解析，最後に数値解析コード検証のためのデータベース開発について簡単に書く。詳細については，それぞれの参考文献をご覧いただきたい。