有機／無機積層構造を用いた透明バリアフィルム

摘要

近年，フレキシブルデバイスやウェアラブルデバイスという言葉を多く耳にするようになってきているが，これらはこれまでにない，「薄い」「軽い」「曲がる」「割れない」などの特徴を生かした新規デバイスである．こうした特徴を実現する上で最も期待されているデバイスの一つに，有機エレクトロルミネッセンスを利用した有機発光ダイオード（以下，OLEDと略す）デバイスがある．OLEDデバイスに用いられる有機材料や金属材料は大気中の極微量の水や酸素によっても劣化してしまうため，従来，デバイスを保護する部材としては主にガラスが用いられてきた．しかしながら，ガラスを用いた場合にはフレキシブルデバイスの特徴を持たせることが難しく，ガラス同等のバリア性を持つバリアフィルムの開発が求められてきた．本解説では，こうした背景で開発した“スーパーバリアフィルム”について，その技術内容と特性，応用例などについて紹介する．