エネルギー変化と化学熱力学

摘要

化学熱力学の重要な事項として，化学エネルギー発生のもととなる化学反応における熱の出入りを考えてみよう．これは熱化学（Thermochemistry）と呼ばれ，かつては化学の重要な部分を占めていた．化学変化に際して起る物質の量的変化を反応式に基づいて知ることは化学を学ぶ上に必須の事項であるが，それを実例をもとに計算することは化学量論（Chemical Stoichiometry）と呼ばれ，以前からケミカルエンジニアには必須の項目であった．しかし，今は基礎化学や化学工学の基礎に入れられている．それについてもここで触れる．次に化学熱力学の立場から溶液の性質を解説する．特に，理想溶液のほか理想希薄溶液の束一的性質といわれるものを説明する．