■斜面形状を考慮した落石跳躍量の予測方法の提案

摘要

落石対策では防護柵や防護網などの落石防護エが広く用いられている。落石防護エの必要高さは，落石の衝突位置にょって決定されることから，落石跳躍量の予測が重要となる。落石対策便覧（日本道路協会，2000）では，軌跡の最大跳躍量を採用するとしており，最大跳躍量h は，図-1に示すょうに定義されているが，「最大跳躍量が一般的な斜面形状の場合には落石の形状にょらず，ほとんどが2 m以下であるが，斜面に突起があるとこれを超える」としている。また，「凹凸の少ない斜面では跳躍量が2 mを超えることは少ないが，斜面上に局部的な突起のある場合や凹凸の多い斜面では，跳躍量は2 m 以上になることがあり，4?5 mに達する場合もある」としている。落石対策エの設計法と計算例（地盤工学会，2014)では，斜面勾配が急変する場合や突起が大きい場合などで斜面からの跳躍量の測定方法に不明瞭さ(hとh'の設定方法）があるという指摘(図-2)や，跳躍量を小さく設定したために防護柵を飛び越えた事例などが報告されている(図-3)。勘田?荒井(2012)は，一般的に平坦な斜面における跳躍量の予測方法を提案しているが限定的であるため，本報告では斜面形状に注目し，特に図-2で指摘されているょうな遷急点（下部斜面が上部斜面ょり急な場合の地形変化点）を有する斜面に着目した上で，全体的に比較的凹凸が多い斜面（以下では凹凸斜面と称する）と全体的に比較的平坦な斜面（以下では平坦斜面と称する）の斜面評価を考慮に入れて，落石と斜面の位置関係を物理的に把握し，軌跡として跳躍量を予測する方法を提案する。