超細粒鋼

摘要

筆者らの取組みを主体に超細粒鋼の概略を述べた。 浅学ゆえに超細粒鋼の研究開発動向をくまをく概観するには至らなかった点はご容赦願いたい。 結晶粒径が1μm以下の超細粒鋼が日常生活に"普通の鋼材"として行きわたるには、なお相当の時間を要すると思われるが、最近の精力的な研究開発により実用化は確実に近づいているといえる。 今後大事なのは、種々の超細粒鋼製造プロセスの長所を生かして、実用化例をまず生み出すことだろう。 これは付加価値の高い特殊用途に限られるだろうが、これが突破口となって多方面での本格的な量産化へと発展することになろう。 超細粒鋼は、"古くて新しい"鉄の歴史にまた新たな時代を拓く重要な担い手になろうとしている。