電界によるスピン制御技術

摘要

固体磁気メモリに代表される“スピントロニクスデバイス”が注目される重要な特徴の1つは磁石の性質に起因する情報の不揮発性にあり、それに基づく理想的な低待機電力性にある。一方で、情報の操作に相当する磁化反転などのスピン制御に関しては、電流によって発生する磁界（電流磁界と呼ぶ）もしくはスピン偏極電流を素子に直接通電させることによって発生するスピントルクを用いるなど電流をベースとノした方法が主流であり、ジュール熱による不要な電力消費が本質的に避けられないため、理想的な低消費電力駆動化の弊害となっている。半導体産業において電流駆動型のバイポーラトランジスタから電界効果トランジスタへの重要な技術革新が生まれたように、スピントロニクスデバイスの超低駆動電力化を目指す上では電界によるスピン制御技術が今後のキーテクノロジーとなる。