先天性伸筋萎縮に伴う手関節の伸展位拘縮に対する灸頭鍼治療

摘要

【目的】今臥先天性の手関節伸筋群萎縮に伴う伸展位拘縮に対し、灸頭鍼を用いた治療を施し、手関節可動域の改善を見たので報告する。 局⒗繍{者は演者が勤務する専門学校に在学中の男子学生（20歳）。 ［医師の診断］先天性伸筋萎縮症。 手術以外に回復は望めない。［現病歴］小学生時に異常に気がつき、受診した整形外科で、先天性伸筋萎縮と診断された。 ［現症］手関節伸展位（約900）拘縮及び軽度の尺屈を認め、僅かな自力屈伸が可能である。 　 初見時、術者による徒手屈曲·伸展では激痛を訴え、自力可動域以上には動かせない。［治療方法］当初、前腕伸筋群の起始部と、筋腹の拘縮·圧痛が顕著な部位を選び、寸3－2番ディスボ鍼を用い、3～5荘の灸頭鍼を週2回行った。 文の大きさは小指頭大とした。 刺入した伸筋は指伸筋を中心とし、長·短横側手根伸筋も治療対象とした。 数回の治療後、屈筋側にも筋の拘縮を認めたので、同様に灸頭鍼治療を行った。 　 施術開始当初、医師の見解では、改善は見込めないというものであったが、数回の治療で約900　 の背屈·拘縮であったものが、背屈約45°に改善し、自力運動も可能になった。