心肥大を呈する各疾患の心筋脂肪酸代謝障害の特異性についての検討-~(123)I-BMIPP心筋シンチグラフィを用いて-

摘要

肥大型心筋症(HCM),高血圧性心疾患(HHD)および大動脈弁狭窄症(AS)の肥大心の心筋脂肪酸代謝障害の特異性について検討した.対象は心収縮能良好なHCM28例[非対称性中隔肥厚(ASH)13例,びまん性肥厚(Diffuse-HCM)7例,心尖部肥大(APH)8例], HMD15例, AS13例,健常者(NC)8例である.方法は安静時~(123)I-BMIPP心筋シンチ早期像(15分後)および後期像(4時間後)のplanar像とSPECT像を撮像し,他日に~(201)TI心筋SPECT像を撮像した~(123)I-BMIPP planar像より心縦隔比と洗い出し率を算出した.各肥大心での集積低下の頻度は~(201)TIに対し, ~(123)I-BMIPP心筋SPECTで顕著で,後期像では60%以上の症例で集積低下を認めた.洗い出し率はASで亢進した.欠損部位は, ASHが前壁および下壁中隔の接合部, DiffusかHCMとHHDが下壁, APHとASが心尖部に多い特徴を認めた.各肥大心において心筋脂肪酸代謝障害を認め,疾患特異性があった.