臓器転移巣にて多形肉腫様変化を呈した肺腺癌の1剖検例

摘要

患者は,65歳,男性.検診にて,左胸部×線異常陰影を指摘され入院.経気管支的肺生検で左肺隠棲と診断され,左肺下葉切除+リンパ節郭清施行.腫瘍は54×48×43m m で空洞形成を伴い,病理組織検査では低分化肺腺癌,pT2NIM:0であった.術後約6カ月で局所再発および肝臓,両側副腎に転移し,術後約10カ月で死亡した.剖検では肝臓,両側副腎,右腎臓,S状結腸に転移しており,組織はいずれも異型性の強い多形細胞と紡錘形細胞を主体とする未分化な細胞よりなり,肉腫様となっていた.免疫組織学的検討では,上皮性マーカーに陽性で,閏葉系マーカーは陰性であったため,転移臓器にて肉腫様変化を呈した肺腺癌と診断した.