濾胞性リンパ腫の治療

摘要

濾胞性リンパ腫（follicular lymphoma, FL)は，緩徐 進行型（indolent) B細胞リンパ腫の代表的病型である。 FLの患者は診断時より進行期（stage III以上）である ことが多いが，無症状で診断され，無治療でも数年以上 にわたつて病状に大きな変化がない患者が少なくない。 FLに対する治療としては，化学療法，放射線療法，rituximab (抗CD20抗体）療法などがあり，少なくとも初 回治療は多くの患者で奏効する。FL患者の治療成績は 改善しつつあり，とくにrituximabが初回治療に導入さ れた2000年代以降，生存期間の延長がみられている1'2)。 しかし，長期的にみると奏効例の大部分が再発を来た し，再び治療が必要となる。いいかえるとFLの進行期 例では治癒を目指すのが困難な状況が今も続いている。 FLに対しては新規治療薬を含めてさまざまな治療選択 肢がある反面，初回治療時および再発時の治療方針は画 一的に定まっていない。このためリンパ腫の状態や患者 背景を踏まえて治療方針を考えていく必要がある（図 1)。