消化器内科

摘要

過敏性腸症候群（irritable bowel syndrome ： IBS)は，日常診療でよく遭遇する疾患であるが， その多様な病態のため単剤でコン卜口一ル可能な症例は少なく，むしろ多剤を倂用することが多い.IBSを効率的かつ的確に治療していくには，3段階からなるガイドラインに沿って病態に即した治 療を行っていくことが勤められる.すなわち，プライマリ?ケア医は主に軽症から一部中等症のIBS 患者を担当することになり（第1段階），消化器内科医は主に中等症以上のIBS患者の治療を担当する ことになる（第2段階）.しかしながら，両段階における治療内容の線引きは必ずしも明確なものでは なく，第1段階目の薬剤に奏功しなければ，プライマリ?ケア医も第2段階の治療を行っていけばよ いと思われる.その際には，可能な限り器質的疾患を除外する姿勢を忘れてはならない.万が一，除外診断のために小腸造影，内視鏡検査，乳糖負荷試験などが必要と考えられる場合には，躊躇せず消化器内科医にコンサルテーシヨンをすべきである.