鉄道におけるIT応用システム

摘要

鉄道における各種システムを管理運営区分で考えると，運輸·保全といったソフトウェア分野と車両，信号／通信，電力／電気，施設／機械などを担当する部門がある。 これらの分野にIT(Information Technology)を適用し旅客サービスの向上や設計／開発／調達／試験／保全などの業務の効率化を図ったものを，従来からのIT展開として，トラディショナルビジネスと呼ぶ。 一方，トラディショナルに対比して従来の枠組みを変えたビジネススタイルの出現に伴うシステムをニュービジネスと呼ぶ。 新しいビジネスモデルが出現し事業形態や業務プロセスが大きく変化しており，人·物の輸送を主とした鉄道事業から，情報や物流の拠点となる駅と通信経路となる線路というように，ITによる新たなコンセプトモデルが出現している。 本稿では，トラディショナルビジネスの代表事例として，列車情報システムの動向と，旅客サービスの向上を目的としたVIS(Visual Information System)，及び業務の効率化を目的とした輸送総合システムについて紹介する。 また，ニュービジネスの事例として，鉄道事業者特有のITインフラ（沿線の光ネットワークとデータセンターやコンテンツ配信センターなど）を括用したASP(Application Service Provider)事業への取り組みについて述べる。