土壌診断の現状と将来展望

摘要

一昨年，食料 - 農業 - 農村基本法が施行され，農業の自然循環機能の維持増進による環境と調和した農業生産の確保が求められるようになり，作物生産と環境を仲介し，これらの基盤となる農耕地や土壌など自然資源の特性の評価や合理的な活用が一層重要になってきた。これにともない，土壌の資源や環境特性の把握 - 評価を担い，これまでも土壌改良や施肥設計などで重要な役割を果たしてきた土壌診断に対する期待はますます大きくなっている。 土壌診断の定義やその歴史，意味づけや診断基準，今後の展望などについて，先輩諸氏が機会ある毎に述べられてきた。しかし，土壌診断を土壌の作物生産機能の特性把握といった狭義の視点から扱っているものが大半であり，土壌診断の対象を農域における土壌資源といった広い意味で述べたものは少ない。ここでは，農耕地土壌特性の実態や農耕地の管理を取り巻く現状と問題点などについて触れながら，主に土壌資源の有効活用といった視点も含め今後の研究の展望について述べる。