ベトナムにおける農業と植物遺伝資源研究

摘要

ベトナムは，インドシナ半島東端の海岸線 に南北に長く広がる国で，様々な環境で農業 が行われている。筆者の一方は，昔から自家 採種で栽培されてきた歴史の古い品種，「在 来品種」遺伝資源の収集、保存、研究を行つ ている農業生物資源ジーンバンク（茨城県つくば市）に属しており，約20年前にベトナム との植物遺伝資源を介した共同研究を始め た。当時は特にィネを対象とした共同研究が 主体で，ベトナムの在来イネ品種の調査-収 集を行った。ベトナムは栽培イネ発祥の地域 にも近く，地域によって作型も異なっており， 多様なイネ品種を収集することができた。ィ ネ以外にも，野菜や茶，カンキッ等について， 日本の研究者とベトナムの研究者との共同調 査が実施された。当時は日本のドラマ「おし ん」がベトナムで放送され人気を博していた ことから，農家の方々も日本に親しみを覚え てくださり，調査隊の質問にも積極的に対応 してくださった。