ナラ枯れ被害木のキノコ栽培原料としての適性および使用条件

摘要

キノコの栽培原料は森林の木質資、原であり、おがくずを使用する「菌床栽培」と長さ1mの丸太(原木)を使用する「原木栽培」に大別される。現在、国内のキノコ生産は施設内で計画生産することができる菌床栽培が主流であり、我が国で古くから行われてきた林地自然栽培による原木栽培では主に乾シィタケが生産されている(写真1、2)。しかし近年、「ナラ枯れ被害」と呼ばれる広葉樹の集団枯死が全国的に拡大し、菌床栽培、原木栽培とも原料を安定的に入手できるか懸念されている。被害の激しい林地では、被害木の本数割合が年間10%、累積被害率は50%に及んでおり、栽培原料の枯渴が現実的な問題となっている(写真3)。ナラ枯れ被害はナラ類の高齢化が要因の1つとされ、そのため現在の成熟したナラ類を早期に使用し、若い森称へ更新することが本被害の根本的な対策と考えられている。このような状況の中で、被害木の利用を進める必要があり、本試験ではナラ枯れ被害木をキノコ栽培原料として使用できるかを確かめ、また使用するための条件を明らかにした。