園芸作物における分子進化学と分子系統樹の重要性

摘要

園芸作物は高度に育種されてきた結果、他の農作物に例を見ない多様性を確保した。 この傾向は花き井作物では特に強い。 そのため、古くから品種成立について形態学的、あるいは生理学的な見地から議論されてきており、得られた知見は更なる高度な育種を行う際の重要な情報となりうる。一方、1970年代半ばにはDNA配列決定法が開発され、さらに80年代の終わりにPCR法が編み出され、自然発生的あるいは人為的な塩基配列の変化を知ることができるようになった。園芸作物においてもこの手法を用いて種の近縁関係、品種の成立の推測、自生種の地理的変異の解析等が行われてきた。 しかし、DNAの解析で得られた結果が果たしてどの程度確かなものであるのか、悩むことも多い。