北米における生物的防除の研究

摘要

果樹の減農薬栽培に取り組む上で、天敵の有効利用、いわゆる生物的防除が大きな柱の一つであることは間違いはない。 しかし、利用する防除資材は天敵という生き物なので、化学農薬に頼った害虫防除と異なり、その原理を十分に理解して取り組まないと、期待した結果は得られない。 近年、わが国でも、施設園芸を対象とした天敵農薬の活用による病害虫の生物的防除が脚光を浴びている。 一方、施設園芸という閉鎖系の農業生態系と違い、ハウスミカンなどの例外を除き、果樹栽培は開放系の農業生態系であり、天敵昆虫を天敵農薬として利用しても、その効果はあまり期待できないと考えられている。しかし、生物的防除には大きく分けて三つの方法（表1）があり、それぞれの特性を十分に理解して取り組めば、減農薬栽培の大きな力になり得る。 北米、特にアメリカ合衆国では、これら三つの方法のいずれもが積極的に試みられている。