新植図におけるブドウ葉の萎縮性生育異常症状多発原因の究明

摘要

2000年に広島県内の新相ブドウ園工2haにおいて葉の萎縮’小型化および節間の短縮といった生育異常症状が多発した。 そこで，本症状の原因を解明ずるため，発生実態調査を行うと同時に，最も疑わしい要因であるホウ素の過剰施用および接ぎ木により同様の症状が起こりうるか否かを検討し，下記の結果を得た。 1．葉の萎縮および節間の短縮症状は，作型ヤ品種の違いにかかわらず発生した。 2．現地の生育異常症状発生樹では，葉および根圏土壌中のホウ素濃度が高かった。3．現地ブドウ樹における潅水直前の土壌水分吸引庄はpF2．5に達し，乾燥条件下にあった。 4．ホウ素を多量に施用すると，現地と同一の症状が発生した。 5．葉のホウ素濃度は土壌水分状態が湿潤よりも乾燥状態で高くなる傾向があった。 6．。 窪木による検定ではブドウ萎縮病類似症状の発生は認められず，本症状はウイルス等の接ぎ木伝染性病害ではないと判断した。7．以上の結果から，本症状は根圏土壌中に施肥によるホウ素が過剰に含まれていたことが主因となり，乾燥を助長する土壌管理が誘因となって，伸長中のブドウの新梢中にホウ素が高濃度に吸収蓄積したことによる生育障害であると推論した。