マイナー作物の農薬登録の現状と課題

摘要

マイナー作物の多くは地域特産作物であり，村おこし，地域おこしなど地域社会の活性化を図るために，また，伝統的な野菜を見直していこうとする社会的な動きを背景として，生産，加工，販売されている。これらの中には，有名ブランド化され全国各地で販売されている農産物もある。 多種多様な栽培形態をもつ各種作物では農薬使用が不可欠なことも多く，これまでも「中山間地域特産農産物等生産支援対策事業」や「農薬安全使用等総合推進事業」のもとに，国，都道府県，農薬メーカー等の関係団体によつて薬効、薬害試験及び作物残留調査が行われ，使用農薬の登録拡大が図られてきた。しかし，栽培面積が少ないマイナー作物においては，農薬メーカーにとって登録に必要なデータ作成等の経費を回収することが困難なため，積極的に登録拡大が実施できない状況にあった。 そのため，マイナー作物の病害虫防除は，類似した形態などを有する作物に通用のある農薬の使用基準を準用するなどして対応してきたのが実情である。