かびの分類と形態

摘要

かびとは，一般的には微細な糸状の構造をもつ微生物（糸状菌）をいうが，酵母，きのこなどと同じ仲間の微生物（真菌）である．本特集は糸状菌を中心としているが，酵母，きのこ共に生活史の中で糸状構造をもつことがあるので，ここでは真菌全体の分類について述べ，とくに糸状菌についてはなるべく図を示すようにした．真菌は有性胞子の生まれ方によって子嚢菌門（袋の中に胞子ができる），担子菌門（拍子器と呼ばれる生殖細胞の外側にできる），不完全菌門（有性胞子を生まず無性胞子のみ），接合菌門（接合胞子を生む，この菌門のみ菌糸には隔壁がない）などに分けられる．無性胞子の一つ，分生子は子嚢菌門と不完全菌門にみられ，とくに後者においては種を分類し識別する手がかりになっている．分生子は親菌糸の外側や，菌糸が新たに伸びた部分が分化して生まれ，生まれ方により，出芽型など7型に分けられる．もう一つの無性胞子は袋状構造の中にできる胞子嚢胞子で接合菌門にみられる．