西水研玄関に展示されている「チョウザメ」標本

摘要

西海区水産研究所の玄関左手のガラスケースに納めて展示されている「センニンチョウザメ」については，諸先輩方々始め，西水研を訪問された方々にはよく知られた存在にもかかわらず，この標本が採集され，剥製にされたいきさつについての記述が見あたりません。 本年度は西水研創立50周年に当たり，筆者の一人が記念誌の編集作業を行う過程で，玄関のこの標本について触れざるを得ないと考え，あちこちと心当たりを尋ねた結果，北島忠弘さん（当時西海水研遠洋資源部）にたどり着きました。 そこで北島氏から寄稿頂いた標本陳列に至る経緯を紹介いたします。 この陳列されているチョウザメについてのもう一点は「センニンチョウザメ」と同定されていることです。 かつて水研を訪問された研究者から，この同定について疑問が呈されたことがあると聞き，同定結果の再検討を行いました。 その結果，現時点ではセンニンチョウぜメはカラチョウザメの同物異名の可能性が大きく，カラチョウザメと同定すべきとの結論に達し，その検討内容を紹介いたします。 また，最後に当所に科学技術特別研究員として滞在しておられる梁氏の翻訳により中国の文献（上海魚類，1990；倪勇）から，カラチョウザメの記載と生態を紹介いたします。