寺神戸亮/モーツァルト：ヴァイオリン·ソナタのDENON版

摘要

寺神戸亮のCDを初めて聴いたのは，十余年前にお邪魔した大先輩の春日二朗氏（故人）のお宅だった。チェンバロのシーベ·ヘンストラとのコンビによるバッハのソナタ全集の冒頭の旋律が,後藤ホーン·システムから流れ出したとき，二男を亡くして間もなかった筆者は，その実しい響きに不覚にも目頭が熱くなったことを覚えている．それに気づかれたのか春日さんは,「人生のつらい思いを経験すると，バッハは心に染みますね」とつぶやかれたことを思い出す．