グレートイースタン——大型化への挑戦と挫折

摘要

大型船ばやりのクルーズ業界には「超」がっく巨大船が出現している。「とにかく疲れてしまつた」とは、先年万トンのァリュールオブザシーズでカリブ海クルーズをしてきた友人の感想である。船体を建造する素材と技術進歩のおかげで、長さ360メートル、5千人を超える乗客を乗せて20ノットで疾走する客船が現実のものとなつた。現在では長さ200メートルの船は珍しくないが、今からー60余年前、当時の誰もが思いつかなかつた巨船を着想し、周囲を説得して建造に着手、自分の生命と引きかえに完成させた例がある。