BOOK GUIDE

摘要

1都20県におよぶ広範囲に被害をもたらした東日本大震災の発災から，この3月でちょうど3年が経過した。特に東北太平洋岸の被災地では，最大震度7を記録した激しい揺れと，明治三陸冲地震を上回る観測史上最大の津波に襲われ，福島第1原発では津波を起因とする深刻な原子力事故が発生した。これに対して，防衛省•自衛隊は東北方面総監を指揮官とする統合任務部隊を編成し，約5力月半の間に延べ1,058万人を被災地に派遣，救援活動を行なった。本書は海上自衛隊における災派実動部隊のトップ(初動は横須賀地方総監，のち海災部隊指揮官)として，震災に立ち向かった著者による海上自衛隊の活動記録で，発災直後の横須賀司令部の様子，被災地入りした部隊の実相が指揮官の視点から克明に描かれている。ことに従来あまり語られることのなかった，福島第1原発への原子力災害派遣については，後世に伝えるべき貴重な記録といえるだろう。