アメリカ海軍戦略の戦後史1945-2014

摘要

1945年，第2次大戦での太平洋の戦いで日本海軍を打ち破った米海軍は，戦争の終結とともに，競合する相手のない世界最大にして最強の海軍となっていた。第2位の海軍であるイギリスとその連邦諸国はァメリカの同盟国であり，新たな対立の相手となりうるソ連海軍は，弱体な沿岸海軍に過ぎなかった。しかし共産主義のソ連と，資本主義のアメリカと西ョーロッパ諸国との緊張は第2次大戦後間もなくからすでに明らかになり，スターリン政権のソ連は1946年には自国の周辺であるトルコやイランに圧力をかけ，共産主義勢力拡張の意図を明確にしていた。これに対し，米海軍は戦艦ミズーリMissouri BB-63を東地中海に派遣して，ソ連の野心に対抗する姿勢を示した。