現代の潜水艦

摘要

前回述べたように，潜水艦は潜航することによって敵に発見されずに目標に近接し，強力な武器で相手を攻撃する。この潜水艦が組織的に戦闘に使用されるようになった第1次大戦の初めから第2次大戦の終わりまでは，潜水艦は水上を移動し，戦闘の前に潜航，魚雷で敵艦船の水線下に大きな被害を与える，という現代から見れば比較的単純なものであった。もちろん日本が誇る当時世界最大の伊400型潜水艦のように航空機を搭載するものもあり，特殊潜航艇を搭載するケースもあった。しかし，これらは世界的には特殊な例であり，潜水艦の中に区分を設ける必要性を生じさせるようなものではなかった。しかし，第2次大戦後の科学技術の発展に伴って，潜水艦はその動力と武器を飛躍的に発達させた。動力の面では原子力がその画期となるものであり，武器の面ではミサイルが潜水艦の作戦能力を大きく変え，その両者の組合せが何種類かの潜水艦を生んだ。しかもこれらの潜水艦は特殊な例ではなく世界的に普及したため，潜水艦を区分する世界的な共通認識が生まれたのである。