IPCC第6次評価報告書が警鐘を鳴らす気候危機の現実

摘要

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は8月9日、異常気象と地球温暖化の相関関係を科学的な見地から分析した第6次評価報告書を発表した。IPCCは気候変動について、世界中の科学者の知見を集約する国連機関。1990年から気候変動が及ぼす地球環境や生態系への影響を科学的に分析してきた。この報告書を作成するための作業部会にオブザーバーで参加した関係者は、報告書の要旨を次のようにまとめている。*人間の活動によって地球の平均気温は約11°C上昇している*50年に一度の記録的な熱波が起きる頻度は、1.5°Cの気温上昇なら産業革命前に比べて8.6倍、2°Cなら13.9倍、4°Cでは39.2倍に達する*たとえ1.5°Cに抑えるシナリオでも2100年には海面が28～55cm上昇し、最も高いシナリオだと最大1mに達する*産業革命以降の人間活動によってCO_2は約2.4兆t排出されており、気温上昇を1.5°Cに抑えるためには残りあと4,000億tの枠しか残っていない*すなわち、排出量を直ちに急減させてネットゼロに持っていかなければ、1.5°Cの気温上昇に抑えることはできなくなってしまう——これは特定の思想·信条を持つ人たちが出した知見ではなく、世界中の科学者と195ヵ国の政府代表団がWEB上に集結し討議の末に出した結論である。この関係者は「気候危機はどこか遠い国の話ではなく、自分たちの生活を脅かす猛暑や洪水に直接関係している。そして今回、このままではさらに激甚化していくことが科学によって明示された。来たるCOP26(10月31日～11月12日)に向け、日本はCO_2の半減目標を確実に実施していく施策を提出する必要がある」とコメントした。