原材料費続騰の懸念から減少に転じた紙加工業界の設備投資

摘要

紙加工関連企業27社の2018年度設備投資額は前年比4.9%減の1,443億円と2期ぶりに前年実績を下回り、対売上高比率も5%の大台を割り込hだ——3月期決算企業を中心とする各社の有価証券報告書から設備投資の実績を抽出した結果である。ちなみに同じ27社の18年度業績は売上高が前年比5.0%増の3兆179億円、経常利益が同0.7%增の2,132億円、利益率7.1%と増収増益だったものの、売上高に比べて利益の伸びはわずか。設備投資の減額もこうした収益状況を反映していると思われるが、同時に紙加工業界の場合、ここ数年続いている原材料の値上げラッシュに製品価格の改定がなかなか追いつかないという構造的問題も抱えている。ただし射土の業績は主力事業を取り巻く市場環境によって当然ながらバラツキがあり、したがって設備投資に対するマインドも一様ではない。プラスチックごみによる海洋汚染問題などを背景として紙系包装材料には追い風が（プラスチック系には逆風が）吹いているだけに、すでに始まっている2019年度以降に各社がどのような事業戦略と展望に基づいて投資案件を組み立てていくのか、注目される。各社の18年度実績と19年度計画をまとめてみた。