管理体制面の課題はあるが新規の意欲的な取組みも目立つ

摘要

日本製紙連合会は2014年に策定した「生物多様性保全に関する行動指針」に基づき、15年より前年度の取組み状況をフォローアップ調査している。このほど、会員企業30社中27社(前年度調査比△2社)から回答を得て、18年度の実績を対象とする第5回目の調査結果をまとめた。製紙産業は地球上の生物多様性の揺籃地であり、C02の吸収源として地球温暖化防止にも大きく貢献している「森林」から、再生可能でカーボンニュー卜ラルな「木材」という生態系サービスの恩恵を受け、「紙」という人間生活にとって不可欠な物資を供給している。したがって生物多様性の保全に取り組むことは、製紙産業としての当然の社会的責務と言える——「行動指針」はこうした問題意識に基づいて作成されたものだが、毎年のフォローァップ調査はその実効性をより確実に担保する目的で実施されており、有意義かつ必要な取組みだ。以下、製紙連のまとめた概要報告を紹介していく。