国際マーケティング論の系譜と新展開

摘要

諸上茂登氏は、日本の国際マーケティング論の発展期に当たる第二世代のリーダーとして知られる。諸上氏の国際マーケティングへの視角には、国際ビジネスとの接点を見出し、包摂的アブ口ーチを求めようとする点で特徴がある。本書でもそれに変わりはない。各章の要約は「第1章第3節本書の構成」(九〜一一ぺージ)に記されているので、ここでは、本書がいかに高度なレべルで体系化し尽くされているかを証明することに徹したい。第1章「国際経営と国際マーケティング」では、解明すべき問題領域とそれに対応して応用すべき学説の変遷が要約され、研究パラダイムシフトの必然的方向性が二つ示唆される。