第Ⅱ部 情報集: 木質内装•外装材の難燃化技術 1. 難燃処理木材の白華•溶脱の問題とその対策

摘要

国土交通省の「木造建築工事標準仕様書」や「公共建築木造工事標準仕様書」では，地域や使用目的，使用箇所により木材には防火処理等が要求されるようになってきている。木材の難燃処理には，一般的に水性の難燃薬剤が注入処理される。このため，高湿度環境下や屋外環境下では薬剤が木材中から溶出し，乾燥により木材表面で再結晶して白色化する「白華」現象が大きな問題となっている。白華現象は木材の美観を損ねるだけでなく，薬剤の溶出が防火性能の低下の懸念を持たれることにも繫がりかねない。そのため，難燃化のために薬剤処理した木質建材の使用時における白華の防止が強く求められていたが，これまで白華抑制に対する技術的な指針や抑制効果の評価方法等が無かった。このような中で，平成25年4月に(公財)日本住宅•木材技術センターのAQ認証対象品として「N-1白華抑制塗装木質建材」が追加され，白華抑制の品質性能評価基準が制定された。これにより，薬剤の溶出による白華を抑制した難燃処理木質建材が認定されるようになった。