アルカリ処理による余剰汚泥の物質変換プロセス

摘要

活性汚泥法に代表される生物学的排水処理プロセスにおいて，大量に排出される余剰汚泥の減容化が求められている。減容化対策の1つとして，嫌気性微生物の異化作用により余剰汚泥をメタンと二酸化炭素にまで分解する嫌気性消化が有力である。本研究では，安価なカ性ソーダを用いた化学変性により汚泥の可溶化を促進するアルカリ処理に着目し，処理条件(pH，熱，処理時間）に加えて，処理後の調整pHが汚泥の可溶化および嫌気性消化に与える影響について検討を行なった。汚泥可溶化の促進には，熱アルカリ処理が最も効果的であった。一方，後段の酸生成プロセスでは，アルカリ処理単独による可溶化処理ならびに初期pHを9に調整した条件で高い有機酸生成を示した。また，短時間処理においても減容化率の促進効果がみられた。今後，さらに可溶化と消化の雨段階の促進により減容化を達成するうえで，アルカリ処理単独での条件を最適化するのが望ましいといえる。