日本の水環境の50年を振り返って: 水質保全から水環境保全へ

摘要

わが国の河川はI960年頃までは清流であり,小河川のほとhどでは大きな石が置かれ,洗いものはもちろhのこと,顔を洗ったり,歯みがきをする人も多かった。春先,周囲をみればレンゲの花が咲き乱れ,まさに「春の小川」の様相を呈していた。その後,生活レベルも向上し,洗濯機の普及もあって,徐々に川は生活の場から遠ざかった。1970年に,いわゆる公害国会(第64回国会)において,水質汚濁防止法をはじめ公害規制法14法が可決されて,現在に至るまでさまざまな改正がなされ,その強い規制のおかげで,わが国の水環境は昭和20年代(1950年前後)ほどではないものの,環境基準の河川のBOD達成率は94.6%に達している。