分子生物学的手法を用いた細菌群集構造解析による従属栄養細菌の指標性の評価: 生物活性炭を対象として

摘要

細菌現存量指標としての従属栄養細菌の代表性を、分子生物学的手法による細菌群集構造解析 を通して評価した。国内2箇所の浄水場の生物活性炭を解析した結果、従属栄養細菌として検出されたのは全細菌数の2%程度にすぎず、単推された株は、すべてα-Proteobacteria、β－Proteobacteriaに近縁であった。一方、培養を介さずに、生物活性炭に付着する細菌群集を末端制限酵素断片長多型（T－RFLP）によって解析した結果、従属栄養細菌として検出されるのは細菌群集全体の一部に過ぎないことが示唆された。水道水質管理における従属栄養細菌の位置付けについては、更なる知見の集積が必要と考えられる。