発泡スチロールの熱線加工メカニズム: （熱線停止時の加工特性）

摘要

短時間で手軽に加工ができる発泡スチロールの熱線加工を対象に，特に熱線が止まっている場合の加工量について実験をおこない，また単純なモデルによる予測を試みた結果以下の結論が得られた．1．加工半径の広がり方は初期において急激であるが，時間の経過とともに鈍くなる．また特に，実験結果では長時間になるとほとんど加工が進まなくなるが，これは対流により熱が持ち去られるためと考えられる．2．実験結果において，上部から熱線を挿入した場合には，熱線の挿入経路を通る対流の影響で時間の経過にともなって次第に加工形状が涙滴形に成長してゆく．一方，側方からの挿入ではこのような傾向はみられない．3．単純な一次元熱伝導モデルにを用いた計算によって得られた結果にもかかわらず，特に短時間，低密度の条件では実際の加工量をかなり良い精度で見積もることが可能であることが示された．