高層建築物の空間連続的振動特性評価へのレーダー技術適用に関する考察

摘要

A space-continuous vibration monitoring of a tall building using radar system is proposed, and its effectiveness is confirmed conducting vibration measurement of an actual tall building. Main results are described as follows. 1. Observed signal from the radar represents the movement of the whole area of the building. Applicability of the data for vibration analysis were confirmed, regardless of various outer walls and materials of buildings. 2. The obtained results by the proposed system is well corresponded to the results which was obtained by the past vibration measurement results using conventional vibrometers. 3. The proposed procedure of vibration monitoring is a rational technique and can be applied to estimating vibration properties of tall building structures.%建築·土木構造物に対する構造へルスモニタリングにおいて，それ らの振動特性を取得することは，構造物が設計通りの特性を有して いるか判断する重要な要素となり，繰り返し取得することによって 経年に伴う特性変動から構造物の劣化を推定できる重要な指針とな る。構造物の振動特性の把握には，卓越周期と共に振動モード形状 や減衰特性を把握しておく必要がある。振動モード形状を把握する には，一般的には多くの加速度計あるいは速度計を建物内に設置し て同時計測する必要があり，多くの人手や時間を必要とし，大型構造 物の場合には配線作業が困難で計測できない状況も生じる。これら の計測機器をワイヤレス（無線システム）とした場合においても，信 号経路の遮断や信号ノイズの問題等で，実質的に計測精度の確保が 困難になる場合も多い。このため，従来の構造へルスモニタリングで は，多くのデータから効率的に振動特性を抽出する方法,少 ない計測データより全体特性を推定する方法,などの検討が継 続的に行われている。また，構造物にセンサ類を配する手法に対し， 外部から構造物の振動を取得することができるレーザードップラー 速度計などの適用検討が近年行われているが,これらは概ね構 造物の限られた位置の速度計測に限定され，測量機器などを併用し て計測位置の特定を行う必要がある。同機を用いて構造物全体の面的な振動分布を把握するための検討も進められているが，多種複数 の機器を用いる必要があるなどの課題がある。さらに電波を外部か ら照射し，その反射波の位相変化から距離変動を求める方法も提案 されており，橋りようの振動計測への適用が行われている。