近年の豪雨による河川災害の特徴と課題: 2019年台風19号（東日本台風）を例に

摘要

平成は，地震や洪水氾濫，土砂災害，火山噴火など，様々な種類の自然災害が顕在化した時代といえるが，その様相は令和へと元号が変わっても同様である。特に，洪水氾濫などによる風水害は，毎年のように全国各地で甚大な被害が発生している。記憶に新しいところでは，平成30(2018)年7月に発生した西日本豪雨では，岡山県-広島県•愛媛県を中心とした広範囲の洪水氾濫•土砂災害が発生した。また，令和元(2019)年10月に本州に上陸した台風19号（Habigis,その後，東日本台風と気象庁が命名）は同月12日の19時に非常に強い勢力で日本に上陸し，関東甲信地方•東北地方の1都12県に大雨特別警報が発表された。その結果，東日本の広い範囲において，甚大な洪水氾濫•土砂災害が発生した。この台風とその後の大雨により，全国で死者•行方不明者は107名の甚大な被害が生じた。このような中で250km~2以上の洪水氾濫が発生した。2018年西日本豪雨の氾濫面積が185km~2であったので，今次台風の洪水氾濫範囲が如何に大きいかが分かる。本稿では，台風19号による洪水被害の状況を報告する。なお本稿は，二瓶の内容をベースとしている。