米中貿易摩擦の現状と展望: 鮮明になったデカップリング傾向

摘要

米国は、1972年のニクソン大統領の訪中からオバマ政権時代までは、中国に対して関与政策を取っていた。関与政策の下では、米国は中国の経済発展を支援し、これを通じて中国の民主化を促そうとした。しかし、米国の意図に反して、中国は一党統治を維持しながら、経済大国として急速に浮上している。止まらない対中貿易赤字の拡大も加わり、米国は、2017年にトランプ政権が誕生してから、中国を戦略的競争相手として捉えるようになり、中国との間の貿易、投資、技術、人の流れを制限することを通じて、米中経済の切り離しを意味するデカップリングという方向に舵を切った。対中関税を引き上げることや対中技術移転を制限することが、その主要な手段となっている。