メキシコ·中米との関係を通して見る米国の移民政策

摘要

現在、米国の移民政策を論じることの意義については、以下2点が考えられる。まず、日本の移民政策、より具体的には、外国人労働者受け人れ枠拡大についての議論を深めるために米国の課題について触れることの意義である。次に、米国の移民政策と主要な移民送出国のメキシコと中米諸国との関係においてである。すなわち、1980年以降、中米からの移民，避難民の拡大傾向は、米国の移民政策に影響を与えると同時に、それ以前の米国の移民·外交政策の影響を強く受けているとされる点である。このような問題意識の下、この報告では以下の順にしたがって記述する。I米国に向かう移民の歴史的な流れ、そして戦後のメキシコ.中米からの流入、Ⅱ米国の移民政策の変遷、Ⅲ米国の移民政策とメキシコ·中米からの移民、Ⅳ米墨間の移民政策の関連、V米国移民政策の外国生まれメキシコ在住人口への影響について述べていく。