競技スポーツにおけるデータ活用の現状と課題

摘要

今回は、競技スポーツにおけるデータの活用に関する現状を紹介しながら、課題も併せて述べた。一方、競技スポーツにおける統計やデータ活用の論文や書籍も多くなっている。たとえば、大神（2008）はバスケットボール競技でのチーム戦力や個々のプレーヤーの攻撃力の数値化を行っている。また、単なる数量化の方法の提唱ではなく、バスケットボールの指導者でもあることから、その指標のコーチングでの活用を提唱している。さらに「かつて指導者の経験や直観に依存していたことを考えると、（中略）プレーヤー及びチームの現状戦力をより客観的に表すことから、コーチングに必要不可欠な作戦・戦術の立案及び練習課題の抽出・決定の一助になる」と述べている。統計の活用は、単なる結果の予測にとどまるのではなく、大神氏が述べているようなチームまたは個々の選手の能力向上につながる活用でなければならないはずである。