少子高齢化社会における家族扶養: 「互酬性」に着目して

摘要

日本社会は、少子高齢化社会の到来に伴って解 決すべき多くの課題を抱えているが、小稿では、 その課題の一つである世代間扶養に関する問題を 家族扶養に焦点をあてて議論することにした。と いうのは、日本社会における世代間扶養の問題は、 家族扶養を中心にして対処してきたからである。 そこで、ここでは、家族扶養に関する研究成果 を踏まえて、国立社会保障・人口問題研究所が 2008年に実施した「第4回全国家庭動向調査」を 中心にしながら、日本大学総合科学研究所が1994 年に実施した「現代家族に関する全国調査」を比 較史的な資料として検討することにした。