少子化と両立支援：両立困難に関する国際比較

摘要

ワーク.ライフ.バランスの実現は、政府の少子化対策においても重要なトピックの1つとされている。日本では第1子出産前に仕事を持っていた女性のうち54.1%が出産半年後の時点で無職となっており、仕事と育児の両立は困難な状況にある。女性が出産退職することの機会費用は生涯所得にして2億円に達すると推計されており、結婚·出産の抑制要因になっていると指摘されてきた2。このため、女性の継続就業を促進し、仕事と育児の両立を可能とするために、育児休業制度の充実や保育サービスの量的拡大など多くの施策が講じられてきた。各種の統計調査を見ると、仕事を持つ母親の増加という点では両立支援策は成果を上げているといえるようである。