原著論文編論文要旨

摘要

下水処理水の再利用を目的とした既存の統合的膜処理システムでは精密ろ過膜（MF膜）と逆浸透膜（RO膜）が用いられているが,バイオポリマーによるRO膜のファゥリングが問題となっている。本研究では，アルギン酸によるRO膜のファゥリングおよび統合的膜処理システムにおけるアルギン酸の挙動にCa2+が与える影響について理解を深めることを目的とした。実験の結果，MF膜による前処理を行わない場合は，Ca~(2+)との安定な配位結合により多量体を形成するGG ブロックおよびMGブロックが選択的にRO膜上に堆積するために，Ca~(2+)によりRO膜のファゥリングが促進すること力s 明らかになった。その一方で，MF膜による前処理を行った場合は，多量体を形成したGGブロックおよびMGブロックがMF膜により除去されるため，むしろCa~(2+)によりRO膜のファゥリングが抑制されることが明らかになった。