引地川水系におけるダイオキシン汚染事件

摘要

引地川は，神奈川県の中央部に位置する大和市の丘陵地帯を水源とし，藤沢市鵠沼海岸で相模湾に注ぐ全長16.9kmの2級河川であり，農業用水として利用されている。2000年3月に引地川に流入する藤沢市内の雨水排水路において高濃度のダイオキシン類による汚染が判明した。そこで本県は，直ちに排出源である事業所の廃棄物焼却炉からの排水を停止させ，環境庁（当時）および藤沢市で構成する連絡調整会議を設け対応策を検討するとともに，周辺環境調査を実施し環境汚染の実態把握に努め，関係法令に基づき事業所への立入検査等を行い，原因の解明および汚染の拡大防止対策等を進めた。本稿では，本事件に対する本県のこれまでの取組みの経過についてまとめたものである。