レ一ザ測距儀を用いたナツプ飛距離及び水深の計測方法の提案と流速推定への応用

摘要

土石流の被害推定を行う上で，土石流の流速は流量を 推定するための基本的な値である。一般的に，土石流の 流速を現地計測する場合，非接触型の流速計や動画解析 などの方法により計測した表面流速を用いて平均流速な どを推定する。従来の土石流流速の計測手法を見ると， それぞれに土石流の挙動や発生時の状況に由来する課題 が存在する（例えば，小川ら，2009)。非接触型の場合， 超音波や電磁波を用いる際には，1秒間隔の計測値の30 秒～10分平均値がデー夕口ガに記録されることが一般 的である。この記録方法では，流れが急激に変化する土 石流観測の場合では，時間分解能が低いため，土石流の ピークなどを観測できない可能性がある。また，これら の方法は多くの場合，測定範囲から澪筋がずれると計測 できなくなるが，土石流流下後には河床に土砂が堆積し 澪筋が変わることはしばしば起こるため，連続計測がで きない場合もある。これらの課題から流れの急激な変化 に対応できる時間分解能を有し，澪筋の変化にも対応で きる測定範囲が広い手法が望まれる。一方，動画解析の場合，豪雨時や夜間など映像が鮮明でない状況下では， コマ毎に変化する同一点を追跡できないため，結果的に 適切な流速が算定できないことがある。この場合，可視 光に依存せず水面の変化を計測できる手法が望ましい。 したがって，これらの課題に対し，高い時間分解能で計 測可能な値が，澪筋の変化や悪天候下でも計測できれば， 直接流速が計測できなくとも，それらの計測値を活用し て流速等を推定する手法も一考に価すると考えられる。%This report proposes a method for measuring free-falling nappe distance and depth of debris flow in order to estimate more accurate debris flow velocity. The velocity was calculated according to a semi-theoretical equation. Nappe distance and depth were obtained using a laser range finder installed into Arimura River in Sakurajima, Japan. In the debris flow that occurred on June 21, 2014, the nappe distance (L) and depth (h_e) of debris flow was obtained, and the nappe distance was approximated by L =10.1h_e - 0.17， where observed maximum h_e is 0. 7 m. A comparison of the velocity estimated from the semi-theoretical equation and collected using the ultrasonic velocity sensor showed that the calculated velocity is valid. The proposed method is capable of measurement even during bad weather, and it is possible to estimate the debris flow velocity at a high time resolution.